シーカランタ(Siikaranta)
ホテル・ヌークシオ
国立公園に隣接するホテルとしては隋一の設備を誇るホテル・ヌークシオ(Hotelli Nuuksio)を拠点に、静かな森歩きが楽しめます。ただし最寄りのバス停まで2キロ離れているので、自力で行くには難易度高め。
その反面、ちょっとした秘境にも踏み込めますので、労力をかける価値はあります。ホテルに一泊してどっぷりと自然に浸るのもよいでしょう。
レッパバーラ(Leppävaara)から238もしくはエスポーから244のバスでシーカニエミ(Siikaniemi)に向かい、途中のナルポルッティ(Naruportti)下車。バス停の確認はハウッカランメンティエ以上に難しいうえ、ここからホテルまでは2キロあるので、現実的にはエスポーからタクシーを利用することになりましょう。
解放感に満ちた草原、広大な湖はホテルの敷地内。宿泊して湖畔のサウナを利用したり、街灯の整った周遊コースで安全なナイトハイキングを楽しむこともできます。
ホテル周辺を歩くだけでもリゾート気分を味わえますが、ここに来たらやはり沼地散策に出かけたいところ。ホテルから30分ほど歩けばヌークシオ最大の沼地、ソイディンスオ(Soidinsuo)を一望できる場所に立つことができます。
ホテル目の前に広がる草原はKesäranta(ケサランタ)。夏の湖畔という意味で、その名の通り、初夏の爽快さは文句なし。日光浴に来る人々で賑わいます。一方、景色の一転する冬も、ここなら安心。湖上でスキーやスケートを楽しむ人も少なくありません。
同ホテルを公共交通機関で訪れるのは手間なので、時間に余裕があるかただけにおすすめします。以下の記述は、なんとかしてホテルにたどり着いたことを想定したものです。
ハイキング開始
ホテル前から整備された緑コースには3つのルートがあり、それぞれ1、3、4キロの長さ。沼地に近づけるのは3もしくは4キロコース。最短コースはホテル周辺をめぐるだけですが、街灯も整備されているので秋・冬の夜でも安心して歩けます。
ソイディンスオ(沼地散策)
シーカランタでのハイキングの真骨頂は沼地巡りにあります。獣道に分け入って原生林の雰囲気を味わい、あるいは荒れ地を踏みしめ、隠れるように存在する湖に癒される・・・。コース内容はバラエティに富んだものです。
途中までは目印や木道があり、沼地を見下ろす高台まで問題なく行けます。
しかし指定コースは森林内を通りぬけて出発点に戻るだけの退屈さ。原生林のだいご味を感じることはないでしょう。 2020年ころに道標が整理されたのですが、おそらくは迷う人が多かったのでしょう。遭難を防ぐためにはよいのでしょうが、いっぽうで沼地の真骨頂ともいえる場所には行きづらくなったともいえます。
指定ルートをはずれて展望地点に自ら登る場合、しばらくはわかりやすい道が続きますが(写真上・左)、次第に踏みあともなくなってきます(同・中)。さらに進むと森林の真っただ中(同・右)。こうなると地図とコンパスを使ってのオリエンテーリング技術がない限り、目的地には行けないでしょう。経験者と同行するを強くお勧めします。
森を抜けるとヌークシオ最大の沼地を見ることができます。下に降りることも可能ですが、雨続きの後だとくるぶしくらいまでもぐる可能性があります。沼ですからね。
その後また森に入り込み、踏みあとをたどってカイスランピ(Kaislampi)を目指します。ひっそりと隠れるような場所にある湖です。意図的なものなのでしょうか、指定ルートからの隔たりは50mくらいのものですが、この湖を示す印はありません。ルート上から見えるわけでもないので、その存在を知らなければ湖畔にたどり着くことはできないでしょう。ホテル・ヌークシオから西に進むコースだと若干わかりやすいものの、道標に従って進むと全く別の場所に出てしまいます。ホテルからここまでは2キロ弱。
湖周辺には民家もあるので地元の人に逢うこともあるでしょうが、訪問者の数は多くありません。バス路線が廃止されたので、観光客は減少の一途でしょう。大げさにいえば「秘境」のたたずまい。実にフィンランドらしい自然を味わえるのがシーカランタ周辺のハイキングです。