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毒キノコ判別法
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フィ ンランドにはおよそ5300種類のキノコがあり、そのうち毒キノコは約50種。死に至る猛毒を持つものは11種類といわれている。単純計算だと 致死的な毒キノコは全体の500分の1、腹痛・嘔吐レベルを含めても毒キノコは100 分の1 ということになる。しかしこれは種類に対する割合に過ぎず、実際に目にするキノコの一割が猛毒、一割が毒、食用には適さないものが三割で、残りの五割くらいが食べられるもの、ではなかろうか。これは体験に基づくとはいえ単なる印象なので信ぴょう性は低いが、実態とそれほ どかけ離れていないと思う。すなわち、簡単に目にするキノコの大半は食べても大丈夫(おいしいかどうかは別問題)と考えてよい。しかし、毒キノコにあたったら大変なことになるので安易に口にするのは控えたい。。

 そ こで野生のキノコを食べるには毒キノコの判別能力が不可欠になるが、一般に言われている”判別方法”は全く信じてはいけない。たとえば 派手な色をしたキノコは毒、地味ならOK、虫がついているものは食べられる、縦に避けるものも大丈夫、といった類の言い伝えだ。これは「特定のキノコがたまたまそうである」というだけのことで、迷信にすぎない。猛毒キノコはむしろ地味な色合いのものに多いし、「ナスと煮ると毒が抜ける」、「塩漬けにすればよい」などにも根拠はない。ましてや「ナメクジが食べてるから大丈夫」など、虫と人間を同一にとらえるとは何をかいわんや、 である。

 

 ではどうすればいいのかというと、毒キノコの見分け方に決定策はないため「一つひとつ覚えていくしかない」という身も蓋もない結論になるのです。

 またやっかいなことに、 日本とフィンランドとでは 同一のキノコでも食・毒に違いが出るものがある。たとえば日本では食用にされるキツネタケはフィンランドでは✖認定。その逆に日本では毒とされるモリハラタケ、ヒロハアンズタケ、カラカサタケモドキなどはいずれも美味として知られている。これは土を中心とした生育環境の違いに基づくものだろう。

 そうしたわけで、食・毒の判定はさらに難しくなるが、生死にかかわる11種類くらいは覚えられるので、さほど心配することはない。

猛毒:ドクツルタケ

一本食べれば確実に死ぬ

毒キノコの食べ方

Suippumadonlakki.シビレタケの仲間。シロシビンを含む、と聞くと微笑む人もいるかな?

 といっても、こうすれば毒キノコも食べられるようになる、ということではない。前項に引き続き、羊頭狗肉の感があるコラムですね。まあたとえばシャグマアミガサタケ(Korvasieni)が数回の煮沸を経て食用となるように、一定の下処理をすれば食べられる”毒キノコ”というものもあるのだが、ここで紹介するのはその類ではない。毒キノコを毒キノコとして食する人がいる、という話である。

 毒キノコを好んで食べる人には3種類がある。一つは美味しいから。たとえばベニテングタケは様々なキノコに少し混ぜて炒めると風味が増しておいしくなる、というもの。二つ目はなんとか食べられないかと工夫するもの。猛毒キノコには向かないが、不味い程度のキノコを乾燥させたり塩漬けにしたり、と創意を重ねる。これはあまり良い結果にならないようだ。とりあえず食べた、被害はなかった、と自己満足はできる。

 そして三つめは毒素そのものを目的とする人。その代表的なものはシビレタケで、要は麻薬ですね。東南アジアなんかを旅してると「マジックマッシュルームいらんかえ~」なんて行商人に出会うことがあるけど、その手の幻覚作用を求める人に愛用されることがある。「動物の糞によく生える」といわれ、屋外トイレの周りに生息してたりするんだけど、普通の芝生でも目にすることは珍しくない(写真上)。

 とはいえ私はドラッグ関係にはうといので、どうやってどのくらい食べればいいのかの見当はつかない。バンコクの某店ではシビレタケ(もしくはワライタケ)をトッピングしたピザがあって、ある種の人々には人気、なんて話があるので、煮ても焼いてもいいのだろう。また、なんといっても生食が効くけど、下痢をしやすいのが難点、なんてことを聞いたこともある。いずれにせよ試したことはないので実態はわからない。

  なお、シビレタケには幻覚を呼び起こすシロシビン(Psilosybiini)が含まれているため、フィンランドでも麻薬取締法(huumausainekieltolaki)により、その採取、栽培、保持、使用は犯罪とされている。つまり厳格に解釈すると「可愛いからちょっと集めてみました」なんて言い訳が通用せず、即逮捕もありうるということだ。

 でも、庭に生えてきちゃうんだよなあ。

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