Hevoskastanja
●和名 セイヨウトチノキ(ムクロジ科)
●学名 Aesculus hippocastanum
●生育環境 比較的湿った肥沃な場所。フィンランドでは植樹。
●特徴
フランス語のマロニエといったほうが通りがよいだろう。枯れ葉舞うパリ・シャンゼリゼ。シャンソンが頭の中に流れてくるかもしれない。
しかし現物を見ると、そんな妄想じみたロマンチックさを感じることはない。原産地のバルカン半島では40メートル近く(フィンランドだと15メートルくらい)にまで育つ巨木だし、無骨な葉っぱは30センチを超える。フィンランド語のHevoskastania(馬の栗)のほうがイメージに近い。
馬栗。なんだい、そりゃ。と思うかもしれないが、英語名のhorse chesnutに対応するもの。そもそも学名(のうち属名)のhippocastanumが「馬の栗」という意味なのだ。日本語でも明治時代は馬栗と呼んでいたとは、知らなかった。
フィンランドに自生種はないが、街路樹としてあるいは公園の飾りとして植樹されている。ムシがつきにくいのが好まれる理由。初夏に咲く花は20~50の小花による円錐花序。20~30センチの高さ。葉は楕円形で20~30センチ。対生。5~7枚で大きな掌状複葉なので、一度見れば忘れることはないだろう。
9~10月にかけて実がなるが、これが問題だ。栗にも似たトチの実(種子)は緑色の果実に包まれている。果実表面にトゲがあるのが日本のトチノキとの違い。そしてトチの実は食べられるが、セイヨウトチノキは不可という違いもある。実に含まれるサポニンの量が違うのだろう。いっぽうそのためシップ剤としての利用を勧める人はいる。血行促進に効果があるそうだ。
とはいえどこにでも生えているわけではないから、実践している人はごくまれだろう。
見た目は栗。しかもトチの実の仲間だからおいしそうだけど、食用には向かない。さすが馬栗である。