Kanerva
●和名 ギョリュウモドキ (ツツジ科カルーナ属)
●学名 Calluna vulgaris
●生育環境 林内の明るい荒地、道端
●開花期 7~8月
全高30~50センチ。まっすぐに伸びた茎に薄いピンクの小さな花が密集する。花弁のサイズは3~4ミリ。群生して集団を作るのが一般的。寒さ、乾燥に強くフィンランド全土にまん延。ほぼどこにでも見ることができる。
花が目立つので「草花」の項で紹介するが、実際には常緑低木。とはいえ冬場は枯れ木のような茶色になる。華奢な見た目に反して寿命は長く、20年ものはざら。50年に至るものもあるという。
正式な和名はギョリュウモドキだが、園芸種として流通する際、誤用を含めて複数の名が使われている。カルーナ、ヘザーがそれだが、前者はラテン語を元にした属名、後者は英語名。エリカ、ヒースと呼ぶこともあるが、それは別種、すなわち間違い。
また、和名の語源は「ギョリュウ(御柳)」に似ているためとされているが、まあ、確かに似てないことはないなあ、といった感じ。そもそもギョリュウなんて知らない人の方が多いだろうし。大昔は一般的だったのかな。
開花期は7~8月と言われているが、実際には6月から9月中旬にまでおよぶ。いつでも・どこにでもあるため、フィンランドではあまり高い評価は受けていないようだ。その一方で実用的な価値はあり、花蜜(かみつ)が多いのでハチミツを採取する花(蜜源植物)として活用されている。また、かつてはホウキ(箒)として使用されていた。Kanervaはギリシャ語のホウキを語源とする。
また、エミリーブロンテの「嵐が丘」で描かれているのもコレ。
“I wish I were a girl again, half savage and hardy, and free... Why am I so changed? I'm sure I should be myself were I once among the heather on those hills.”
雪融け後(4月末)、前年の枯れ葉と花弁が残る中に新緑が現れる。新しい花弁が色づくのは6月以降。