これはツリガネタケだが、外見が類似している時期もある。
Kantokääpä
●和名 ツガサルノコシカケ (サルノコシカケ科)
●学名 Fomitopsis pinicola
●生育環境 主に広葉樹の切り株、枯れ木、立ち木に寄生。ほぼ全国に生息。
●季節 通年(多年生)
●食毒 ★
この手のキノコを見ると、即座にサルノコシカケと思う人は多い。まあ、完全な間違いではないにしてもそんな名前のキノコはないし、そもそもの科名からして確定はしていない。アミヒラタケ科もしくはタマチョレイタケ科としたほうが良いという説があるし、本種をツガサルノコシカケ科に分類する学者もいる。コフキサルノコシカケなどはその名に反してマンネンタケ科に属すキノコだ。
そんななかで「サルノコシカケ」と言ってもよいのがコレ、ツガサルノコシカケ。科の分類はともかく、サルノコシカケの一種と言い切ることができるので一安心だ。
キノコ全般がそうであるように、ツガサルノコシカケも生長長段階によって見た目が大きく変わる。幼菌の傘は平だが、次第に半球形、釣鐘状、扇形へ育つなかで段差が生じて瘤も出てくる。傘の色も橙、薄茶、褐色、ほぼ黒へと変わり、猿が座れそうな大きさになるころは中心部から淵にかけて黒~白のグラデーションを描く。そうなると他品種との違いがはっきりしてくるが、ツリガネタケ等と混同しかねない段階もある。
食毒の区分は★マークだが、見てわかるように木の塊のようなものだから、摂取するまでには相当の手間がかかる。
食べる場合には薄切りにして長時間煮込む。それでも相当に固い。
あるいは乾燥させてから砕き、粉状にして飲用する。コーヒーや紅茶などに混ぜてもよい。そのほかタバコのようにして吸ってもよい。その効用は内蔵浄化、免疫力強化、血行促進、アレルギー改善など。吸引すると頭痛に効くらしい。手間をかけるだけの薬効があるということなのだろうが、自分で試す気にはなれない。
本種のフィンランド語名はKanto(切り株)のkääpä(サルノコシカケの一種)という意味。切り株に生えるサルノコシカケ、ってことだけど、サルノ・・はすべて切り株に生えるん(立ち木を含む)だから、全種に言えるじゃん。