

ヒロハアンズタケ
Valevahvero
(Hygrophoropsis aurantiaca)

見た目も生育環境・収穫時期も、さらには名前まで似ているので混同しがちだが、全くの別物。これはヒダハタケ科。ヒダハタケは猛毒キノコなので、それを知ると恐ろしくなるが、ヒロハアンズタケは食用可。ただし、特別に美味しいものではない。
Keltavahvero
●和名 アンズタケ (アンズタケ科)
●学名 Cantharellus cibarius
●生育環境 白樺、松林などの比較的明るい場所
●季節 6~10月
●食毒 ★
●特徴
映画「かもめ食堂」で紹介されたことから日本での知名度もぐんとあがったキノコ。可食キノコとしては判別が非常に簡単なである。幼時から鮮やかな黄色またはオレンジの傘。丸型からしだいに漏斗型に生長。傘は不規則に波打ち、中央部分がへこむ。ひだは垂生。柄はつまって固く、全体から甘い香を放つ。
通称カンタレッリ。英語も同様の名称だが、それは学名に由来するもので、正式なフィンランド語名はkeltavahveroである。とはいえ俗称のほうが広く普及しており、市場やスーパーマーケットではkantarelliと表示されている。一般のフィンランド人にkeltavahveloと言っても通じないことのほうが多い。
バター焼きするだけでもフルーティな香りが高まり、フィンランド人には一番人気といってもよいキノコ。6月末にはエストニアからの輸入物が商店に並ぶ。しかし日本では長らく毒キノコに分類されていた。現在も警告対象ではある。微量ながらアマトキシン類などの毒素が検出されるから。フィンランドでは可食、日本ではダメ、あるいはその逆というキノコは少なくない。
カンタレッリ自体の毒性は低いのだが、大量消費は避けたほうがよいかもしれない。すでに忘れ去られてしまったようだが、チェルノブイリの原発事故では、フィンランドをはじめ、全ヨーロッパに放射性物質がばらまかれたのである。特にエストニアでの汚染度は高かった。
それがどうした? と思うかもしれないが、キノコ、特にアンズタケは放射性物質の吸収率が高いんですね。すると、フィンランド(エストニア)産のアンズタケ自体に毒素はないにしても、全く安心できるわけではない、ということになる。ま、キノコに限ったことではないけれど。