





Lehmus
シナノキ属
Puistolehmus
●和名 セイヨウシナノキ(シナノキ科 シナノキ属)
●学名 Tilia x europaea, Tilia × vulgaris
●生育環境 日当たりがよく、排水性の高い場所
●開花期 7月ごろ
●特徴
実はLehmusというのは属名で、個体名ではない。下位分類には30種類くらいあるが、ここではPuistolehmus=セイヨウシナノキを代表として、類似種を説明する。正直に言うと、違いがよくわからないのである。フィンランド語のPuistolehmusにしても、学名が二つあるのはどういうわけか。
そういうわけで、本項の説明文は掲載写真と必ずしも合致していないことを最初に断わっておく。
フィンランドでよく目にするシナノキは3種類。
ここに代表としてとりあげるセイヨウシナノキに加えて、フユボダイジュ(metsälehmus=Tilia cordata Mil)、ナツボダイジュ(Isolehtilehmusu=Tilia platyphyllos)の3つ。セイヨウシナノキはフユボダイジュとナツボダイジュの自然交配種である。
ボダイジュといえばなんとなくイメージが沸くかもしれないが、お釈迦様が悟りを開いた場所に生えていたのはインドボダイジュという別種。こちらはクワ科イチジク属に分類されるので、さらに訳がわからなくなる
また、単なるシナノキ(Tilia japonica)は日本固有種。
このように不明な点も多いが、一応ここに載せた写真はすべてセイヨウシナノキと仮定して話を進める。
前書きが長くなったが、シナノキの樹木としての特徴を記していこう。
暑さ・寒さに強く、15~30m、時として40mに達することもある。そのためPuistolehmus(公園のシナノキ)と呼ばれるように、植樹がさかん。ヘルシンキの中心部であるエスプラナーデ公園を埋めているのがこれ。その他、トラムわきの街路樹としても方々にある。
葉は大きな心臓形。フユボダイジュの学名のcordataは心臓の意味。縁はギザギザ(鋸歯)、先端がとがっている(鋭尖頭)。15㎝ほどの長さになることも。
夏場は葉の表面がべとついているが、シナノキは蜂蜜の蜜源植物であることを考えると納得。ハーブティーにしたり、育毛剤の原料にもなる。
早ければ6月に開花し、7月には結実。「へら状の苞」とともに散る、と説明されるが、苞というのは花の根本につく葉のこと。へら状というより、枝豆の皮を縦半分に割ったような感じ。
幹は太く、表皮は荒い。でこぼこした塊が目立つことも多い。
ある日、異様な状態に遭遇。これはたぶんフユボダイジュ。
直感的に虫の影響かと思ったら、やはりそうだった。
「虫こぶ」もしくは「虫えい」と呼び、昆虫やダニが葉や芽に刺激物質を注入し、植物組織の異常肥大した部分に産卵して子育てをするそうだ。
この犯人はダニなので、「ダニえい(Eriophyes tiliae)」と呼ぶそうだ。つまりダニって虫じゃないのね。
ダニは昆虫ではなく、クモの仲間らしい。
ええ? クモも虫じゃないのか。さらに調べてみると、ダニもクモもサソリの仲間だって。
節足動物門(ここまではチョウチョその他も同じ)、鋏角類に分類・・・などという説明が続くが、もはや理解不能。サソリなら虫じゃあないな、と思うけど、ダニやクモもそこに分類されるとは思いもよらぬことだった。


