Pihasyreeni
●和名 ムラサキハシドイ (モクセイ科ハシドイ属)
●学名 Syringa vulgarisus
●開花期 6~7月
落葉広葉樹の低木。枝先に穂状(スイジョウ)の花をたくさんつける。それがさらに密集して咲き誇るので、一度見ればその特徴を忘れることはないだろう。花冠の先は4つに裂けているのが一般的。
原産地はヨーロッパ南部だが、冷涼地を好むので北極圏近くでも生長する。日本では生息地はほぼ北海道に限られ、札幌市の木に指定されている。
和名の由来は「紫の花をつけるハシドイ」だが、花の色は白・ピンク・青などがある。そもそもハシドイがよくわからないよね。
日本ではライラック(英語)のほうが通りがよいだろう。もしくはフランス語のリラ。リラ冷えなんて言葉にもなじみがあるかもしれない。その意味は「花冷え」と同様だが時期が違う。「花冷え」は本州を基準として桜の時期、陽気がよくなった後に一転して冷え込むときに使われるが、「リラ冷え」は北海道の6月ごろ。
フィンランドにはおよそ300年前にバルカン半島およびトルコから移植された。木々は密集して生え、かつ芳香を放つために生垣として広がった。フィンランド語名は庭(piha)のライラック( syreeni)を意味する。
本種に類似したものにヘンリーハシドイがある。フィンランド語でPuistosyreeni(公園のライラック)、学名はSyringa x henryi。名前にXがついているので園芸品種であることがわかる。
しかし両者の区別が難しい。庭に咲いてたらムラサキハシドイ、公園や街路樹ならヘンリーハシドイという傾向はあるけど、正確な判断基準になるわけがない。葉っぱに鋸歯(細かい切れ込み)のないのがムラサキハシドイだが、掲載写真にはわかりづらいものもあるので、ヘンリーハシドイも混ざっているかもしれない。
なお、本来のハシドイ(syringa reticulata)はフィンランドにはない。