Kuusi
●和名 オウシュウトウヒ(マツ科トウヒ属)
●学名 Picea abies
●生育環境 国内全土
●開花期 5~6月
●特徴
通称kuusi(クーシ)、正式名称metsäkuusi(メッツァ=森のクーシ)。日本語ではドイツトウヒ、ヨーロッパトウヒなどの別名もある。すなわち、われわれにはなじみの薄い木といえるが、北海道の人ならアカエゾマツ(Picea glehnii)と言えば思い当たるかもしれない。それの近似種。
フィンランドの三大針葉樹の一つ。全樹木の半分近くを占めるのは松だけど、これは誰にでもわかるだろう。もう一つがkataja(セイヨウネズ)で、針状の葉はトウヒに似るものの、低木でせいぜい3メートルくらい。最長16.5メートルという記録もあるが、それほど大きなネズに出会うことはまずないだろう。
いっぽうKuusiが15メートルになるのはざら。20メートル以上のそれを見ることも珍しくない。古木なら40メートルを超えることもある。10メートル以上にまで育つと豊富な枝が垂れ下がり、独特の形状をみせる。
球果、おおざっぱにいうと果実(厳密には違う)にも特徴がある。マツボックリ(みたいなの)が枝にぶら下がるのである。
この球果は2年制で、初年度の秋に実を結び、翌々年に落ちる。本家の松ぼっくりに比べると細長くてサイズも大きいので一度教えられれば混同することはないはず。
フィンランドにおけるクーシは特別な存在で、国民に愛されている。なぜなら、クーシはクリスマスツリーに使われるからだ。
12月になると、Joulukuusi(ヨウルクーシ)と称して本種が街中で販売される。ヨウル=クリスマスのクーシというわけだが、種名ではなく、商品名と考えればいい。森に生えていればクーシ、商品になるとヨウルクーシ。クリスマスツリーと訳して問題ない。ヨウルクーシは1月6日まで飾られ、その間は室内が森の香りに満たされる。
ビートルズのバラード、Norwegian woodの題名を誤訳は承知で「ノルウェーの森」とした場合、この木が鬱蒼と茂っている風景が浮かんでくる。
左がマツで右がトウヒの球果。違いは一目瞭然。
kuusenkerkkäと呼ばれる新芽はビタミンCが豊富、といわれるが非常に苦い・・・。サプリとして商品化もされている。