10本程度の”密集”すら珍しい
6mくらいかな。このサイズでも珍しい。
初夏に現れる実
Kataja
●和名 セイヨウネズ (ヒノキ科ビャクシン属)
●学名 Juniperus communis
●生育環境 ほぼ全国の森林内、川岸
●開花期 5~6月
●特徴
マツ、トウヒに次ぐフィンランド三大針葉樹の一つ。マツを知らない人はいないだろうし、トウヒは一度見れば忘れない。したがって「なんかよくわからない針葉樹」と思ったらコレと考えて間違いない。
トゲトゲの葉っぱ ―― まさに針葉樹、はトウヒに似ているが、木全体のサイズが異なる。たいていのトウヒが見上げるほどの高さになるのに対し、ネズは2メートルからせいぜい5メートルといったところ。15mほどに育つこともあるが、極めてまれ。
また、密集することはなく、単独もしくは数本が独立して空きスペースに生えている。マツやトウヒは自分たちの林を作りあげるが、ネズはその中で間借りしているような感じ。
さらにカタヤには実がつく。初夏のそれは色も形もグリーンピース状。次第に色づき、初秋には濃紺、ブルーベリーのような見た目に変わる。
カタヤにも幾種類があるので、分別のためにMetsä(森)を加えることがあるが、マツ(Metsämänty)やヨーロッパナラ(Metsätammi)、トウヒ(Metsäkuusi)などと同様にMetsäは省略するのが普通。なにしろ他のirlanninkataja とかkääpiökataja 、pilarikataja なんてのは希少種なので、とりあえずこの手の木を見たら(Metsä)katajaと考えていい。
本種もまた利用の幅が広い樹木。最も広く知られているのがジン(蒸留酒)の香りづけにすること。紺色に熟した果実を使う。学名のJuniperusはジンの語源である。
もともとは薬用酒で、冷え性の解消から皮膚炎の抑制、はては伝染病も予防するなど、多くの効用が認められている。とはいえ酒飲みとってそんなことはどうでもいいはず。「ジンは体にいいんだよぉ」なんて言い訳でしかない。
樹木自体は身がしまって固く、耐水性が強いのでサウナのベンチやボートの船体に利用されている。日用品としてはバターナイフや鍋敷きなどが一般的。これらはフィンランド旅行の手軽かつ実用性の高いお土産品。
以下はトリビアに属する話。
ジンの香り付けになるような強い芳香を放つカタヤには魔除け効果があると信じられ、庭に植えたり入り口に枝を挿して災厄を防いだという言い伝えがある。
また、森林内のカタヤは旅人に幸運を招くという考えもある。魔除け伝説とともに、マツやトウヒに比べれば数が少ないためだろうか。
寄生するキノコの一種。なかなか珍しい