
状態のよいものだが、コレではなんだか分かるまい。

コレでもなんだか分からない。

さらになんだか分からない(ハンノキに発生)。

Pakurikääpä
●和名 カバノアナタケ (タバコウロコタケ科)
●学名 Fuscoporia obliqua
●生育環境 シラカバに寄生。まれにハンノキなどの広葉樹にも。
●季節 通年
●食毒 ★ 煎じて飲用
●特徴
一般的なキノコの形はしていない。サルノコシカケ科に分類されることもあるが、例の特徴的な生え方でもない。木のコブが焼けただれたような外見。石炭の塊にも見える。したがってこうしたキノコがあることを知らなければ、目にしても気づかないだろう。
「極めて希少なキノコ」、「(白樺)2万本に一本」などと喧伝されているが、これは商品価値を高めるための誇大広告にすぎない。フィンランドではそれほど珍しいものでもなく、たとえばここで紹介している4種は我が家の半径500m以内で撮影したもの。仮に2万本に一個しか育たないのなら、我が家の周囲には8万本以上の白樺が生えていることになる。しかし実態は、多く見積もっても1000本くらいのものだ。
”カバノアナタケ”をネットで検索すると多数のサイトがヒットするが、そのほとんどがサプリ業者の宣伝。Wikipediaの記述も薬用効果に比重が置かれている。「免疫力を高め、生活習慣病を改善し、抗癌効果もある」等々の理由で愛用者も少なくない。しかし、治療効果を証明する科学的根拠はない。
日本で流通しているのはロシア産がメインで、そのためカバノアナタケより「チャーガ」というロシア語名のほうが通りがよい。ロシアで広く利用されているのは事実だろうが、実は日本でも1600年代から薬用利用されている。生木に生えた20~25年物を、春もしくは7~9月に採取すると薬用効果が高くなるらしい。おすすめ採取時期も、なんか怪しいね。生長年をどうやって判断するのかも不明だし。
栄養素の接種は本種の乾燥粉を煎じて飲む。フィンランドでは戦時中、コーヒーの代用として利用されていた。
なお、EU圏では食品として認めらていない。
フィンランドでは万人の権利という慣習により、キノコは自由に採取してよいことになっているが、唯一の例外がコレ。カバノアナタケは森の所有者の許可なしで採ることは許されない。木を痛めるから、というのが理由だが、うまく採れば4~5年後には復活する。とはいえ、監視員がいるわけではないので、現実的には違法採取がまかり通っているのだろう。その証拠写真(左)も掲載。これは相当のサイズだ。犯人は私ではない。採取自体は簡単だが、乾燥させて粉にして・・・などの手間をかける気はさらさらない。
