ヘルシンキ市内を縦横に走るトラムは観光客の足としても重宝されている。そのうち3番トラムは八の字を描いてヘルシンキの南北を周遊しているので、手軽な市内ツアーに利用することもできる。同路線の周囲には中央駅をはじめとして、オリンピックスタジアム、テンペリアウキオ教会、大聖堂、マーケット広場等の観光スポットが多いからだ。
周回の所要時間1時間強だが、気に入った場所を見つけたら途中下車してもよいだろう。 冒頭では3番トラムと記したが、実はこれは2番でもある。南北端に”切り替え地点”があって、そこを経過するときに3番は2番に、2番は3番に変わるのである。乗り降りするわけではないので、たとえばマーケット広場から2番に乗って南下、かもめ食堂に向かうとオリンピアターミナル(港)で3番に変わる。そんなことを知らずにかもめ食堂付近で降り、食事を終えて駅に向かうとき。2番トラムを待っていても永久に来ない。なぜならさきほどの2番トラムは3番に名を変えているからだ。 そのため路線自体は正しくても、「この3番(あるいは2番)はどちら方向にいくのか」「逆方向の2番(あるいは3番)のほうが早いのではないか」とまごつくことがある。ややこしいでしょ? これがこの秋からさらにややこしくなるのです。 現在の2番と3番は同じ路線なので、方向を間違えても無駄な時間がかかるにしても目的地には着く。ところが今年の8月中旬以降、もう一つの周遊路線である7番と合併。経路の一部は異なるものの、大半部は共有され、走行区間に応じて2・3・7と名前を変える予定だ。慣れれば問題ないだろうが、旅行者が混乱するのは必至。アドバイスする立場としても、これまでのように「テンペリアウキオ教会に行くなら中央駅正面入り口を背にして右側に進む2番に!」など、明快に答えられなくなると思う。 今回の改定は路線変更に伴うもので、これによりトラムの運行がスムーズになるというのが当局の説明。トラムはダイヤの組み方が非常に複雑なようで、「一車両のほんの少しの遅れが後続車に多大な影響を与える」ということだ。確かにトラムは時刻表通りに運行されることは少なく、その正確さはバスのほうが上。特に2番(3番)は大幅遅延も珍しくない。 しかし若干の経路程度で思惑通りになるのだろうか。とてもそうは思えない。1番トラムを廃止してバスで代替するとも言ってるので、これは単に経費削減を狙っただけだろう。
この「3番トラム」実は5年ほど前にも路線変更がなされた。改定のたびに利用者には不便になっている印象だ。 Metro 2017.2.16より #ヘルシンキ
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