ヘルシンキからタリンへ電車で。両都市を隔てるフィンランド湾に海底トンネルを通すという構想は20年来の話題だが、昨年あたりからまた再燃してきたようだ。今日もニュース番組で取り上げられ、もし実現すればヘルシンキ=タリン間80キロを30分で結べるとのこと。現在、最も早い列車(Pendolino)がヘルシンキ=トゥルク間150キロを1時間40分かけていることを考えると、タリンまで30分というのは無理があるだろうが、仮に1時間としても大幅な時間短縮である。
現在のフェリーは高速艇で1時間40分、大型客船で2時間かかる。電車の所要時間を1時間と仮定すると、それほど大きな差ではないと思うかもしれない。しかし実際にはまるで違う。というのは、フェリーを利用する場合にはロスタイムが多いからだ。
まず、フェリー乗り場には少なくとも出港時間の30分前には着いていなければならない。1時間前に向かうこともざら。港まで行く時間も考えなければならない。さらにフェリーの場合、目的地に着いてもすぐに下船できるわけではない。大型客船だと顕著だが、乗船者数によっては20分待ち、乗り場の長い長い通路を歩いてようやく外に出られる。つまり、ヘルシンキ中央駅を起点とした場合、港まで10分、待ち時間1時間、乗船2時間、外に出るまで30分、と計4時間くらいかかるわけだ。帰りも同様だから、タリン日帰り旅行というのは、そのほとんど(約8時間)が観光とは無縁の移動時間であることがわかる。
一方列車だと正味の乗車時間だけを考えておけばよい。推定1時間。往復2時間と
すればフェリーでの所要時間とはまるで違うことが明らかだ。
そんなわけで列車開発の潜在的需要は高いのだが、いかんせん莫大な経費がかかるので、話はなかなか進まないでいる。
ところが、である。たまたま目にした旅行会社のサイトには驚愕した。その見出しはこうだ。
【ヘルシンキ発】列車で行く!隣国エストニア・タリン日帰りたっぷり満喫ツアー《日本語ガイド付き+交通費込み》
すでに売り出しているのである! これには驚いた。海底トンネル着工どころか計画以前の段階なのに、先行予約とは。しかも旅行代金は一人3万円。仮に20年後に開通するとして、その料金が3万円ならむちゃくちゃ安い。こりゃもう、予約するしかないよね。
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