一月ほど前のことだが、この夏(おそらく)2度めの真夏日を迎えた。気温は27度まであがり、「ひょっとすると」と思ったらやはり夜になって雷を伴う雨になった。
翌日は天気予報に反してまずまずの晴天。再度「ひょっとすると」と思ったら、やはりキノコが顔を出していた。シバフタケ、ホコリタケ、キツネタケに加え、ヤマイグチまで発見。雷が落ちるとキノコがよく生える、という言い伝えを実感した。もっとも、落雷したわけではないし、雷とキノコの生長にどのような因果関係があるのかもよくわかっていない。「雷で生命を絶たれる恐れを感知し、子孫を残すために胞子を大量に発生させるため」という説明がなされているが、十分には納得できない。
それが本当なら、その他の動植物も増殖傾向になるはずではないか。 雷で生命を脅かされるのはキノコだけではないのだから。仮に自らの最後を悟ったバラ(桜でも白樺でもなんでもいい)は必死になって子孫を残そうとするのだろうか。動物は雷を見て性ホルモンが高まるのだろうか。と疑問はつのるが、キノコの生長の早さを考えればうなづける面もある。たとえばバラなら、実を結び種子をつくり発芽させ・・・といった過程は年単位になる。雷と増殖率の因果関係を証明するのはさらに難しいだろう。受粉を手伝う虫や風をコントロールできるわけでもないし。
一方、キノコの場合は雷におびえて「もはやこれまで」と胞子を精いっぱいばらまけば、翌日には子実体が生成されることもある。雷との因果関係は素人でも実感できるわけだ。
科学者の実験によると5~10万ボルトの電圧を瞬間的に与えるとキノコが大量発生することが証明されているらしい。その理論を応用して、電気刺激を与えるキノコ増産装置も市販されているので、確かに因果関係はあるのだろう。
しかし自然界の現象とは条件がかなり違うのではないか。稲妻の電圧は200万から10憶ボルトといわれているので、実験室のそれとは桁違いに高い。実験によるキノコ増殖には2週間から1か月ほどかかるようだが、自然界では翌日にその成果が見えるといった違いもある。まあ、これは単なる疑問にすぎないが、雷でキノコが大量発生する理由の十分な説明はなされていないのが現状のようだ。なぜある種のキノコには毒があるのか、が分からないのと同じようなものだろう。