一体キノコって世界中に何種類くらいあるんだろう? 日本では、フィンランドでは?
素朴な疑問ではあるが、明快な答えは得られない。たまたまみつけた博士論文の序文はこのように始まる。
「菌類は、修正既知種数として75000種(中略)、その現推定数150万種ともいわれる巨大な分類群である・・・・」
(『日本産アンズタケ目菌類の分類学的研究』彌永このみ 2015年)
簡単にいうと「(キノコが属する)菌類はおおむね75000種が知られており、ここから推測すると世界全体では150万種くらいあるのではないか」ということである。これは菌類全体の数値なので、そこからキノコの数を簡単に割り出せるわけではない。そもそも菌類が150万種というのも統計学に基づく推定である。おそらくはほぼ正確なのだろうが、ワタクシには判断できない。論文を読み進めると、さらにわけがわからなくなる。何しろ著者の名前すら読めないではないか。そのため、同氏が主張する「キノコの総数は6万2000種くらい」という結論は、学説として受けいれるしかない。なお、フィンランドでは「10万種のキノコがあり得る」という説がある。この論拠・出展は明示できないが、本質的な問題ではない。キノコってイッパイあるのね、ということが分かれば十分だからだ。
このうち、日本には5000~6000種、フィンランドには5000種くらいのキノコが生息しており、それぞれ1500~2000種ほどに名前がつけられている。これは異論のないファクト。では世界中ではっきりと確認されたキノコの総数は? というとよくわからないのである。
キノコは何種類あるの? という疑問に対しては「・・・と言われている」、「・・・と思われる」と答えばかりであるうえに、数にしても回答者によってまちまちだ。もともと正確な数など出せないのだろう。聞いてはいけないことなのかもしれない。結局、「想像以上にたくさんある」ということで納得するしかないようだ。