なんとなくヤマイグチをネット検索していたところ、Japanese vocabulary for English speakersという本がヒットした。同書はレベル別に4種類(たぶん)に編纂され、初級の3000語レベルでは「はい・いいえ」といった基本語にはじまり、上級の9000語レベルになるとかなり踏み込んだ単語が掲載されている。中には思わず国語辞典をひきたくなるような、つまり日常生活でなじみのない単語が選ばれたりしている。この本は何を基準に単語選択をしているのだろう。
その疑問は同シリーズの7000語レベルのテキストに、「アカエノキンチャヤマイグチ」という単語をみつけたときにいっそう強まった。7000語レベルの対象は中~上級学習者だろうから、日常用語を少し上回った語彙力が必要になろうが、これはないだろう。なにしろ、こんなキノコの名前を知ってる日本人がどれだけいるというのだ。ましてや日本語学習者(ガイジン)と日本人が「あ、ヤマドリタケ発見!」「いや、それはキンチャヤマイグチですよ。正確にはアカエノキンチャヤマイグチじゃないかな」なんて会話をするわけがないのだ。
同書では続いてヤマイグチを紹介しているが、これすら一般的とはいえない。キノコ関係の単語は13種が紹介されているが、シイタケやマツタケはなし。3000~5000語レベルの初級者向けテキストで取り扱っているのかな?
ヤマイグチの仲間であるボルチーニなら知っている人もいるだろう。実際、そのことばは掲載されているが、和名であるヤマドリタケは載っていない。ボルチーニで訳したつもりになっているのだろうか。そのほうが幾分は通じやすいかもしれないが、それじゃあ、アカエノ~なんて載せないでくださいよ。誰もわかんないんだから。
まあ、辞書にイチャモンつけてるだけなんだけど、実は発見があったからなんですね。長らくヤマイグチの別名はボ(BO)ルチーニだと思ってたんだけど、そうじゃなくてポ(PO)ルチーニなのか! 学名(Boletus edulis)に基づいてB音だと思っていたが、イタリア語のつづりであるporciniに由来するのだね。ついでに書いとくと、英語ではB音なので混乱する。モニターだとポもボも同じに見えるしね。
かなり痛んでますが、アカエノキンチャヤマイグチ(haavanpunikkitatti)
奇麗な写真は本編をどうぞ。