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毒キノコの移り変わり

更新日:3月16日


現在は毒キノコ指定のオシロイシメジ。しかしいまだに食べてる人は少なくない。


 人間と同じように、キノコにもお国柄が現れる。たとえばフィンランドでは美味しいキノコとして親しまれているアンズタケやカノシタについて、日本のキノコ図鑑では「欧米では食されるが日本では・・」という準毒キノコ扱いである。

 その逆に、キツネタケのように日本では食べるがフィンランドでは毒キノコ指定となっているものもある。同一のキノコでも気候風土の違いによりサイズや色、毒性の有無が変わるのである。国によって人々の肌・目・髪の色が異なったり、まるで違う言葉を話しながらもホモ・サピエンス一種に分類されることを考えれば同一キノコの個性に違いがあるのもむしろ当然だが、果たしてそれだけなのだろうか。

 たとえばかつては日本人の多くが牛乳を飲むと腹下しをしたといわれている。牛乳で体調を崩すメカニズムは複雑なようだが、簡単にいえば日本人は牛乳に対する消化能力が弱い、弱かったということだ。この現象から推測して、フィンランド人と日本人との間にはある種のキノコに対する消化能力に差があるということはないのだろうか。実証するまでもなく、そんなわけはないというのが答えなんだろうが、不思議なことではある。

 また、食毒の認定が時代によって変わるのも不思議だ。日本での話だと、たとえばスギヒラタケやハイイロシメジのように昔はよく食べられていたが、研究が進んで実は毒素を含んでいることが明らかになったというものがある。オシロイシメジについても「以前は食用とされていたが・・」「地域によっては食されているようだが・・・」などと記述されている。

 オシロイシメジはある時点から毒性が突然強まったのだろうか。研究が進もうが進むまいが、毒キノコであれば被害者は生じていたはずである。昔の人は毒キノコに対する免疫力が強かった、なんてわけでもないだろう。では、昔は毒キノコと思われていたが、現在では広く食されている、なんて種類もあるのだろうか。

 また、地域によって取り扱いが異なるのはなぜか。日本と欧州ほど離れていれば土壌も気候も大きく異なるので「種」に違いが生じるのは分かるが、「信州では食べるが、大阪では毒扱い」などとされることがあるのはなぜか。

そもそもなぜ有毒キノコがあるのかもよく分からないのだから、解明されない謎はいくらでもあるのだ。


日本ではかつて毒扱いだったアンズタケ(keltavahvelo)


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